センサー異常。

シャトル打ち上げ26日以降に…異常究明に手間取る

どうやら打ち上げ中止の原因になったセンサーの異常が再現できていないようだ。
実験室やある条件下で正常に動いていても、いざ本番で誤動作が出る。原因究明のために、環境を同じにして再試験しても現象が再現できない。非常に悩ましい状況だが、開発の現場ではよくある話だ。実際、俺も望遠鏡開発に携わっていた頃に、同じような経験をした。


で、どうして同じ環境下なのに動作が異なってしまうのか。これは、当たり前のことなのだが、本番と試験とでどこかが異なっているからだ。試験は本番の忠実なシミュレーションであるべきなのだが、完全な本番環境を実現することは不可能であり、実際はコストを考えていくつかの要素を排除したものを試験環境とする。要するに、たかが燃料タンクのセンサーの試験のために何度もロケットを打ち上げるわけにはいかない、ということ。で、開発者は「ここは燃料センサーとは関係ないだろう」という要素を排除して試験を行うのだが、お題のような「試験と本番の結果が違う」状況では、開発者も全く予想してなかった要素と問題の箇所が密接に関わっていることになる。


これは結構深刻な状況で、開発物(この場合ロケット)の各要素の因果関係ないしは関連性が、開発陣に完全に把握できて無いということを意味する。こういうことは、全く新しい装置開発ではある程度仕方の無いことではある。どんなに優秀な人が揃っていても、「抜け落ち」ということはありえるし、「やって初めてわかった」というのも、プロトタイプや一号機ならば残念な結果になっても価値のあることだろう。


しかしながら、スペースシャトルは違う。何度かの失敗はあったものの、長い期間成果をあげてきたプロジェクトだし、技術的にもこなれているはずだ。なのに、ここにきて、センサー1つの原因を把握できないのか。なんとも不思議な気がする。